だれがみても篠原の勝ちだった。当のドゥイエも負けたという顔でしょぼくれていたくせに、一転して、おれの勝ちだ、と開きなおったのである。

 この疑惑の判定がきっかけとなって、以後ビデオ判定が導入された。しかしビデオも万能ではない。

 柔道の国際大会では、主審のほかに2人の副審がいるらしいが、それ以外に、試合場の脇にジュリー(審判委員、陪審)がいる(何人いるのか知らないが、2012年のロンドン大会では3人)。

 かれらは、判定に誤りがあるときだけ例外的に試合に介入できるとされるが、試合の最初から、反則の判定もかれらがやっているのではないか。主審が判定をしたあとで、試合を止めて、イアホンを聴いているときが多いのだ。

 その証拠に、主審は指導を取り消し、技ありを取り消し、あろうことか反則負けを取り消したりしている。主審はなんの権限もなく、まるでロボットのようだ。

 あまりもの判定のひどさに、日本は国際柔道連盟(IJF)を脱退して、べつの組織を作ればいいという話が蒸し返されるが、それは無理である。

 世界の大勢はいまの組織で多分満足している。かれらはとにかく勝てばいいのだ。まず礼儀作法ありきで、「一本」重視の日本の柔道など、少数である。

判定の疑惑はものともせず

 バスケットボール男子予選の日本対フランス戦(7月31日)もすっきりしなかった。

 第4クオーターの残り8分でとられた八村の「アンスポーツマンライク」反則による退場と、試合終了10秒前の河村の「バスケットカウント」の反則の判定も疑惑がもたれている。

バスケットボール男子予選、日本対フランス戦の第4クオーター、八村塁(下)はファウルで退場になった(写真:共同通信社)バスケットボール男子予選、日本対フランス戦の第4クオーター、八村塁(下)はファウルで退場になった(写真:共同通信社)

 しかしこの場合の反則は、ビデオを見ても素人には見極めが難しい。しかしそんな疑惑などはどうでもよく、ここでもフランス国民はお祭り騒ぎだった。

 けっこう軽薄な国民だなと思ったが、まあしかたがない。日本は、なんといっても富永啓生の絶不調が残念だった。