8月2日午前、日経平均株価は急落し、下げ幅は前日比で一時2000円を超えました。JBpressは今年2月、「つみたて王子」こと、なかのアセットマネジメント社長・中野晴啓氏と、さわかみ投信の創業者で日本の長期資産運用のパイオニアである、さわかみホールディングス代表取締役の澤上篤人氏の対談を掲載しました。両氏は株式相場の大幅な調整の可能性に言及しています。対談の前編を再掲します。(初出:2024年2月23日)
※内容は掲載当時のものです
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新NISAへの浅薄な流入、いずれ社会問題に?
──株価の急騰が続くなか、今年1月から新たなNISAが始まり、多くの投資初心者が資産運用を始めるきっかけとなっています。ともに独立系運用会社を創業したお二人は、出足をどう評価していますか。
中野晴啓・なかのアセットマネジメント社長(以下敬称略):いろいろな場所で講演をする度に「これまで何もやっていなかったのだけど、NISAをどう始めたらいいですか」という質問をたくさん受けます。新NISAで資産運用への関心が一般化したのはすごくいいことだと思います。長い目で見れば、貯蓄から投資へお金の流れを変える第一歩になりえますから。
ただ、今は「よーい、どん」で多くの人が飛びついた状況で、この先、「こんなはずじゃなかった」という戸惑うタイミングが押し寄せると思います。
──どういうことですか?
中野:投資に対する理解が浅薄のまま始めてしまった人が非常に多いのではと懸念しているのです。
例えば、多くの人が「オルカン」に飛びついていますよね。「オールカントリー」、全世界株式のインデックス型の投資信託です。米株式指標の1つである「S&P500」にも大量の資金が流入しています。このタイミングでオルカンやS&Pに投資をした人の中には、過去20年などの実績だけを見て、「確実に儲かる」と思い込んでいる人も少なくないでしょう。
でも、いずれ株価は下落トレンドに必ず転じます。そのとき、パニックになる人が出てくることを心配しています。株価が回復するまで、ぐっと耐えて長期保有できればよいのですが、資産運用に関する理解が浅いと、株価が下落していく怖さに耐えられません。その結果、かつてのバブルが崩壊した時のように様々な社会問題が噴出してくる可能性もあります。