暴落は突然始まる、そして深く沈む

澤上:明日弾けてもおかしくないでしょう。世界の運用マネーの大半を握る機関投資家は、音楽が鳴っている間はダンスを止められないので、マーケット動向から離れようとしない。つまり、自分の判断で独自の投資行動をするリスクを取ろうとしない。彼らがマーケットの動向にべったりだから、これほどマーケットはしぶとく高値に張り付いているんですよ。

中野:過剰流動性で相場がずっと右肩上がりになってきたという成功体験から抜けられないんですよ。これまで投資をしてきた人も、実は本当の意味での「資産運用」ではなくて、上がり続けることを前提に資産を買うこと自体が目的化してしまって場合も少なくないと思います。その典型が、インデックス型投資信託へのマネー流入ではないでしょうか。

 しかし、先ほど澤上さんがおっしゃたように、市場全体が右肩上がりになっていくという状況は、もう終わりに近づいています。

「過剰流動性はもはや限界」と語る澤上氏(写真:村田和聡)

澤上:すでに金利が上がってきているので、ゼロ金利を前提に経営してきたゆるい会社は早晩、立ち行かなくなります。そうした会社が倒れ始めたら、マーケットは一気に崩れる。みんなを踊らせてきた音楽は、突然止むんですよ。

 我々は炭坑のカナリアみたいに警鐘を鳴らしているけど、マーケットの人たちはみんな無視している。でも、歴史的な大きな流れをみたら、もういつ弾けてもおかしくないわけです。大きな流れを見るのが長期投資の本質ですが、誰もそういうことを語らなくなりました。

 私は50年以上、この世界にいるから過剰流動性が始まった時からの状況を全て見ています。ところが、今現役の運用者のほとんどはカネ余りの状況しか知りません。構造的に、かなり根が深い問題ですよ。

 一度、暴落が始まったら、リーマン・ショック以上の落ち込みになると見ています。金融当局も、もはや救済する有効な手段を出し尽くしてしまっていますから。

中野:目に見える変化が起きないと、誰も投資行動を変えられないんです。

──どこから崩壊が始まりますか。