(写真:USA TODAY Network/アフロ)

 投資家はここ最近、半導体産業がいかに政治の影響を受けてしまうかを思い知らされたようだ。2024年7月中旬、世界の株式市場で半導体企業の株価が大幅安になった。米国の輸出規制や、トランプ前米大統領の発言に関する報道によって、米中対立を巡るリスクが警戒された。きっかけは2つあった。

バイデン米政権、対中規制強化か

 まず、バイデン米政権が日本とオランダを対象に、輸出規制の強化を検討していると米ブルームバーグ通信が報じた。中国に対して最先端半導体技術の提供を続けていることを問題視したようだ。

 中国に製品を輸出するためには米政府の承認を得なければならない、という規制を導入するというものだ。適用対象となるのは、半導体製造装置大手の東京エレクトロンとオランダASMLである(英ロイター通信)。

 報道によると、この2社はすでに一部製品の対中輸出を停止している。しかし、中国で自社製品のメンテナンスおよび修理業務を続けている。これを米政府が懸念しているという。

トランプ氏「台湾は防衛費を払うべきだ」

 もう1つの報道もブルームバーグ通信からのものだった。トランプ前大統領はブルームバーグ通信とのインタビューで、「中国が台湾に侵攻した場合、台湾を守るか」との質問に対し、「台湾は米国に防衛費を払うべきだ」と述べ、米国が中国から台湾を守らなければならない、という考えに疑問を投げかけた(米CNBC)。

 このニュースは、好調だった半導体セクターに冷水を浴びせる結果となった。7月17日の米株式市場で、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は6.8%下落し、1日の下落幅として2020年以来の大きさになった。この指数は2023年に65%急騰し、2009年以降最高の年間パフォーマンスを記録した後、2024年に入ってからも40%上昇していた。