野党第一党が“代わる”しかない

――9月の代表選、もし立憲が変わる可能性があるのだとすれば、具体的に思い浮かぶ顔はいますか。

菅野氏:はっきり言ってスターはいません。そして、代表選も「ニューヒーロー誕生」「ニューヒロイン誕生」という文脈からは卒業した方がいい気がします。

 誰が神輿に担がれるのかということではなく、中身のある議論をする機会にしてほしいです。

――実際、現代表は40代の泉さんです。

菅野氏:代表さえ変えれば世代交代を果たした、あるいは果たしたように見えるっていうことが、やはり失敗しているわけです。

 共産党との関係について、覚悟を決めて一線を画そうと。現実的な中道路線に舵を切ろうと。そういう本質的な議論が求められているのだと思います。

――実際、いまの立憲民主党は本気で政権を取りにいこうとしているのでしょうか。「自民党対社会党」という55年体制が続いているようにも見えます。

菅野氏:政権交代の現実味がない点で55年体制と同じなのに、立憲は夢を見ているようですね。

 もしかしたら、共産党と組んだら蓮舫さんが勝てるんじゃないかと本気で思ったり、この路線を進んでいけば本気で立憲中心の政権交代が果たせるんじゃないかと思ってみたり、自民党の失敗によって次にバトンが回ってくると思っていたり。そんな印象を受けます。

 国民世論は、「令和の55年体制」でいいのかなと思っていますよ。15年前と同じ轍は踏みたくないけど、統治を託せる党があるなら担わせたいって思っているはずです。

 仮にも、立憲がいま思い浮かべているようなタナボタ的な形で政権を取ったのだとしたら、日本にとってそれはすごく残念なことだなと思います。

 野党第一党が変われないのであれば、野党第一党が“代わる”しかありません。

 野党第二党として維新が存在しています。そして、国民民主党が中道路線にいます。維新と国民はマクロで見れば同じ中道路線ですので、ここが一つの枠組みとなって引っ張っていくしかないのではないでしょうか。

菅野志桜里(かんの・しおり)氏(写真左):2009年衆院選に民主党公認で立候補し、初当選。2016年、「保育園落ちた日本死ね」の言葉で社会問題になった待機児童問題について国会で安倍首相(当時)に追及し、注目を集めた。2020年に立憲民主党を離党、国民民主党に合流。2021年10月の衆院解散に伴って衆院議員を退いた(写真:共同通信社)菅野志桜里(かんの・しおり)氏(写真左):2009年衆院選に民主党公認で立候補し、初当選。2016年、「保育園落ちた日本死ね」の言葉で社会問題になった待機児童問題について国会で安倍首相(当時)を追及し、注目を集めた。2020年に立憲民主党を離党、国民民主党に合流。2021年10月の衆院解散に伴って衆院議員を退いた(写真:共同通信社)
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――旧民主党系の立憲と国民ではなく、維新と国民という枠組みに期待しているということですか。