分断解消が大きなテーマに

 バイデン氏撤退とハリス氏の登場で、大統領選の構図は一変しました。

 トランプ氏をはじめとして共和党陣営は、バイデン氏が高齢で大統領の執務を担えないと激しく批判してきました。しかし、78歳のトランプ氏と59歳のハリス氏の対決となれば、立場は逆転します。高齢批判がこんどはトランプ氏に向かう可能性が十分あります。

 バイデン氏撤退を受けて即座に出馬表明したカマラ・ハリス氏とは、どのような人物でしょうか。

 カリフォルニア州出身で父はジャマイカ系、母はインド系の家庭に育ちました。黒人学生が多いことで知られる首都ワシントンのハワード大を卒業し、検事の道を歩みます。カリフォルニア州の司法長官を務め、2016年に同州上院議員に当選。2020年の大統領選で民主党の大統領候補を目指しましたが、予備選で敗れました。

 しかし、トランプ政権への鋭い批判が注目され、バイデン氏が副大統領に指名しました。法律の専門家らしく、ハリス氏はトランプ氏と戦う今回の大統領選を「検事対(刑事事件で起訴された)重罪犯の戦いだ」と訴えています。

 民主党は現在、党内の結束を図ることを急いでいます。大統領候補と目された民主党の知事や上院議員らは次々とハリス氏支持を表明、選挙資金も急増しています。世論調査で民主党のバイデン氏がやや不利だった州では、ハリス氏がトランプ氏との差を縮めたり、追い抜いたりしたケースも出てきました。

ハリス氏は7月25日(現地時間)、TikTokアカウントを開設した(出所:ハリス氏のTikTokアカウントより)

 人気ミュージシャンのCharli XCXさんによる「kamala IS brat(カマラこそブラット=イケてる悪ガキ」というXの投稿が拡散し、TikTokではハリス氏が踊ったり大笑いしている動画が広がってZ世代の関心が高まっていると言われます。これを受けて自身もTikTokにアカウントを開設しました。

 大統領選のキャンペーンでは黒人に広く支持されている人気歌手ビヨンセさんの楽曲「Freedom」を使用し、トランプ陣営との違いを強調。当選すれば女性初の大統領となることや、黒人でアジア系出身ということも話題を呼び、副大統領候補に誰を選ぶかが目下、注目の的です。