OS、DBMS、ERP、LiDARなどはほぼ代替できる

 こうした事態を深刻に受け止めた中国は今後、スマートフォンOSはファーウェイのハーモニーの開発によって徐々に国産化を進めるだろう。また、データベース管理システム(DBMS)も、ファーウェイやアリババなどによって国産システムが開発され、ほぼ代替できるようになっている。

 自動運転技術の実現に不可欠な技術の一つは、自動運転車の目となるレーザー光を用いた3次元センサー、LiDAR(ライダー)だ。当初、米国企業によって独占されていたこの技術だが、中国企業が自主開発に成功した。世界のLiDAR特許における中国のシェアはすでに50%を超えている。これによって、かつて数十万円もした高額の部品が数万〜十数万円程度になり、自動運転車の発展にとって追い風となっている。

 テクノロジーの分野では、2017年に初飛行に成功した国産ジェット旅客機C919や、ファーウェイの一連の大胆な革新と発表が世界の注目を集めたが、今後、米国の制裁や技術輸出制限を受ける分野では、中国製品への置き換えがさらに進むだろう。

 2023年3月17日、外部協力パートナーとのイベントで、ファーウェイの任正非は米国の制裁を受けた3年間を振り返り、次のように語った。

「ファーウェイは、3年間かけて4000以上の回路基板と1万3000を超えるデバイスを代替するための開発を行い、ようやく通信機器の国産化を実現でき、部品の安定性を確保できた」

 キリン9000sチップの製品化に成功したことで、チップ設計と製造における同社の技術とグローバル・チップ・サプライ・チェーンにおける自立の可能性が高まったことは大きな一歩だ。同社の事例は、中国企業がこれまでのように米国企業に追随することには満足せず、重要な技術分野では独自のイノベーションに取り組んで業界をリードしていく可能性を示している。