致命的に見える危機を克服する力
RNの最初の本能は、フランスの国家主権の名のもとにEUと対峙することだ。
だが、極右の指導者たちはここ数年、強硬なEU懐疑主義が有権者と市場を怖がらせて敵に回すことを多少認識している素振りを示してきた。
2017年の大統領選挙で敗れた後、RNは静かにユーロ離脱の話題を取り下げた。
経済的な危機がEUやドイツ政府との対立と相まった結果、RNは国家主義的で対立的な本能に再び頼るようになるかもしれない。
逆に、国を統治する現実が、EUとの和解の方向へと党を追いやる可能性もある。
記憶力が良い人は、1980年代初期のフランスの経済危機を例に挙げられるだろう。社会党政権が急進的な左派の政策課題を導入しようとした時のことだ。
あの危機はやがて、まずフランス財務相として、次に欧州委員会の委員長としてのジャック・ドロールの台頭につながった。
ブリュッセルでは、デロールは欧州統合の劇的な進展と単一通貨の立ち上げを推し進めた。
歴史がこれと同じ形で繰り返すことはないだろう。
だが、過去数十年間の経験は、EUが致命的に見える脅威を克服できないことに賭けるのが過ちだということを示唆している。
(文中敬称略)