民主主義国家で死に追いやる「空気」の怖さ

 本題から少し逸れますが、「責任を取って死んでしまう」ことについて補足します。

 たとえばロシアなどでは、プーチン政権の闇を追うジャーナリストは大体、謎の死を遂げます。クーデターを起こしたプリゴジン*2が乗った飛行機はなぜか墜落しました。

*2:エフゲニー・プリゴジン(1961年~ 2023年):ロシアのオリガルヒ(大ブルジョアジー)、民間軍事会社の創設者。「プーチンのシェフ」という異名を取り、長く側近として仕えたが、「ワグネルの反乱」を起こし国外へ亡命。その後、不可解な飛行機事故で死亡。

 ここには為政者に歯向かった場合の非常にあからさまな罰則がありますが、それはやはり国の政治体制が違うからです。

 民主主義、自由主義国家の日本において、当事者たちのある種の「空気」のなかで、本人ないしは周りからのプレッシャーで自発的に死んでいくのは怖いですよね。

 西田さんの問題提起に戻ると、だからこそ、0か1かではなく徐々に罪が重くなるグラデーションがあれば、「誰かが亡くなることで追及が終わってしまう」みたいなインセンティブが収まることは間違いないので、段階的なインセンティブ装置のようなものを社会に埋め込んでいくのは有効な手段です。

 そのためには先ほど西田さんが言及した政治資金の透明化を促すということと、いま言っているような政治家の法令遵守のモチベーションを高めることが並行して必要です。

 これを同時に促すようなインセンティブは、どういうものがあるか考えてみましょう。

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■連載:日本の「政治」大丈夫なんですか?
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