企業における情報の非対称性

 少し話が脱線しますが、不法行為、脱法行為をやっているような企業、法律違反をしている企業をどう見つけ出すかという場合にも、深刻な情報の非対称性があります。

 2023年に発覚したダイハツの車両の認証申請における不正事件では、非常にわかりやすい不正をしていても長年外に出てこず、内部告発があってはじめて世間の知るところになりました。

日本の未来、本当に大丈夫なんですか会議 経済学×社会学で社会課題を解決する』(西田 亮介・安田 洋祐著、日本実業出版社)
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 政治家の裏金と同じです。なかの人はある程度知っているかもしれないんだけど、それが外部にまったく伝わっていない。外部からプレッシャーをかけて情報を引き出そうとしても外に出てこなかったということは、第三者がルールを強制しても、その通り動いてくれるとは限らないわけですよね。

 ただ、少し発想を変えると、内部告発しやすくなるような情勢、内部告発を促すような仕組みを作ってあげるという手はあるかもしれません。

 監査機関やルールもそうかもしれないですし、企業に関していえば、内部告発をする告発者を何らかの形で保護したりという対策ですね。

 告発者が周りから糾弾されて会社に残れなくなるとか、告発自体が通ってもその人は職場を去らざるを得ないとか、その後、告発したことを理由に人事上、あるいは待遇上の不利益を被ることがないような仕組みがないと安心して告発はできません。