朝一番、渡船の出船風景(筆者撮影、以下同じ)

 楽しかった堤防や海岸釣りの余韻が残る翌日あたり。

 たまに手や足のあたりに直径5〜10ミリの赤く硬いしこりが複数できて、1~2週間ほど強い痒みや皮膚炎に悩まされることがあります。

 このような状態はもしかすると、「糠蚊(ぬかか)」(以後「ヌカカ」とします)という昆虫に咬(か)まれたのかもしれません。

 ヌカカの場合、咬まれて1日ほど経ってから痒みが発症する特徴があり、これを知らないと、なかなか被害の原因まで想像しづらい現象です。

 今回、長年釣りを楽しむ中で初めて自分がヌカカに噛まれる場面を発見したこともあり、その特徴や近種との分類、被害に遭いやすい条件や対策など、研究資料を参考に確認してみたいと思います。

ヌカカとは

 ヌカカはハエ目(双翅目・そうしもく)ヌカカ科に属する吸血型双翅目昆虫の総称です。

 糠(ぬか)のように微小なカ(蚊)という表現が名前の由来と言われており、同じハエ目ではあっても、日常的に知られる蚊(カ科)とは異なる昆虫です。

 日本では約40種のヌカカが全国各地に分布しているようです。

 今回、海釣りでの被害という点では、主に沿岸地域に生息する翅長(しちょう=はねの長さ)はおおよそ1~1.5ミリの「イソヌカカ」が原因虫と思われます。

ヌカカの被害による皮膚の状態(被害から約1週間後の手首と指)