その他の類似昆虫との違い

 ヌカカ以外にも、「アブ」や「ブユ(ブヨ)」といわれる比較的川や湖沼釣りで被害に遭う吸血型の昆虫がいます。

1.「アブ」は双翅目 アブ科に属するハエの仲間の昆虫で、翅長は7ミリから30ミリ程度とヌカカよりも大きく、主に内陸で見られ、ハエやハチに似た体形で視認しやすい昆虫です。

2.アブと同じ科に属する「ブユ」は、翅長は2~5ミリと小さいものはヌカカに近いサイズではありますが、生息域が主に山間部であることに違いがあります。

 一方でこれらに共通した点は、いずれも吸血方法やその後の強い痒みの発症時期などがあります。

 冒頭より「咬まれた」と表現しているように、多くは蚊のように「針」を刺して吸血するのではなく、「咬んで」開いた傷口から吸血する特徴を持ちます。

 また、咬んだ時に血液を凝固させないために唾液を分泌します。

 この唾液の毒性が強いことから、後に強い痒みとともに発症する皮膚の状態を引き起こす原因とされています。

被害環境と対策

 参考資料を基にすると、以下の環境条件が重なるほど沿岸でのヌカカ被害に遭いやすいとされます。

1.春の終わりから秋口までの季節
2.晴天や曇りの朝・夕
3.無風の時
4.特に雨上がりなどの湿度の高い時

 該当季節の沿岸釣りで、朝・夕マズメの時間帯に「無風」や「湿度が高い」予報、またはそれを現地で感じた時は、ヌカカに要注意となります。

 防虫対策としては、一般に知られる蚊の対策と同様に以下が効果的とされています。

1.長袖に帽子、首にタオルなど肌の露出を減らすこと
2.露出部分と少しその奥にまで虫よけを使うこと

 しかし、ヌカカに対して一般の虫よけでは完全な効果には期待できないこと(下記参考文献「1」の論文中)や、厄介なことに蚊とは異なり、服の中に潜り込んで咬むケースもあり、上記対策は被害率を下げるものとして捉えておいた方がよさそうです。

 ただ、自身の釣行時の経験としては、被害に遭いやすい環境下でも魚が釣れて盛んに動き回っていた私には被害がほとんどなく、途中で休憩してしばらくの間スマホを見ていた同行者に多数の被害が出たという事例もあり、体を動かすという点も対策の一つになりそうです。