「江戸前」の出会いとあこがれ
関東では「江戸前」という言葉をよく見聞きします。
以前は何となく昔ながらの地域やお鮨の調理技法などを指しているとぼんやりと理解していました。
まだ沖釣りに夢中だった頃、釣りの師匠から東京湾での陸釣りに誘われたのをきっかけに、再び陸釣りを始めました。
そんな時、たまたま本のタイトルが気になり購入した三代目三遊亭金馬著の「江戸前の釣り」。
これを読み進めると、師匠の子供の頃の体験談とも似て、より具体的に書かれていたこともあり、それをなぞって体感するうちに見事にハマってしまいました。
今回は、多くは書物などでしか知り得ない「江戸前」の原風景にある定義や価値観について、現代の環境にも触れながら、背景や文化とともに遊ぶ釣りの楽しさについてお伝えできればと思います。
今の東京湾
現在の東京湾は、その河川とともにその流域に東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の大都市圏があり、流域人口は約3100万人。
工業生産力は全国の約16%、約51兆円(2019年)。国土面積の割合がわずか約2%のこの流域に日本の総人口の約24%が集中しています。
人間活動が盛んであるにもかかわらず、多くの人の努力によって東京湾には今も野生があります。
江戸時代は当時、世界でも例を見ない100万人都市と言われてきましたが、現代の人口規模との比較、戦後の水質悪化の時期を経て現在があることなど、断片的な数値や経緯からみても大変な努力の結果に思います。
何より自身の体感としても、今の東京湾で釣れる魚はとても美味しいと感じます(参考:「東京湾」小倉紀雄・風間真理・小泉正行著)。