空冷から液冷へ、冷却の技術開発にも注目

 膨大な電力を消費するデータセンターですが、その消費電力のうち3〜5割程度がサーバーなどの機器が排出する熱を冷却する冷却設備が消費していると言われています。データセンターで重要な役割を果たす冷却機器メーカーも生成AIの追い風を受けています。

 ニデックは4月15日にAI半導体を使うデータセンター向けの水冷機器を増産すると発表。タイでの生産ラインを増強し、従来の月産200台から6月までに2000台、将来的には3000台以上へ拡大すると明らかにしました。増産の発表翌日に、ニデック株は一時、前日終値比7%高の6790円と半年ぶりの高値をつけました。

 データセンター向け空調の高砂熱学工業は昨年末から株価が9割上昇。ダイキン工業なども米国でデータセンター向け空調機器の販売を拡大させています。空冷ではなく液体冷却などの冷却システムの提供を強みとする米国のバーティブ・ホールディングスの株価も昨年末から約9割上昇しています。

 これまではサーバーから出る熱を空気で冷却させるのが一般的でしたが、データ量の増加に伴うサーバーの高性能化で発熱量が増える中、より効率的に電力を使う冷却方法の構築が急務となっています。

 NTTデータやKDDIなどはサーバーを液体の中に浸して冷却する液浸冷却システムの構築を進めています。データセンターの新設を巡っては、電力網に過度な負担をかける懸念などから規制する国も出てきており、データセンターでの省エネ技術の開発動向にも注目されます。

【主な参考資料】
アジア最大規模のAIデータセンター構築に向けた協議開始に合意(KDDI)
シャープ堺工場を活用した大規模なAIデータセンターの構築について(ソフトバンク)

■エヌビディア株だけじゃない“生成AI祭り”
(1)【電力株に生成AIのインパクト】北海道電力は年初来2倍超、九州電力7割高…電力需要拡大や半導体工場建設が追い風に
(2)【データセンター株も生成AI祭り】さくらネットは年初来2倍超、冷却設備関連も上昇…シャープ堺工場は液晶から転換