フランス軍の空母「シャルル・ドゴール」から発艦する「ラファールM」戦闘機(写真は4月25日、NATOの地中海での演習、NATOのサイトより)

NATO最大規模の対露「バルト海作戦演習」

 第2次世界大戦(WWⅡ)のノルマンディー上陸作戦から80年を記念する式典が、D-Dayの6月6日、連合国軍上陸地点の最大の激戦地であったオマハ・ビーチで行われた。

(編集部注:D-Dayとは、米軍の用語で「ノルマンディー上陸作戦」のような重要な作戦のこと)

 この国際式典には、ジョー・バイデン米大統領、英国のチャールズ国王とリシ・スナク首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、カナダのジャスティン・トルドー首相など、20か国超の首脳のほか、上陸作戦に加わった退役軍人らも出席した。

 枢軸国であったドイツのオラフ・ショルツ首相やロシアに侵略されたウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は招待されたが、連合国としてナチスと戦った旧ソ連(ロシア)のウラジーミル・プーチン大統領は招かれなかった。

 バイデン大統領は演説で、80年経ってなお自由は常に脅かされているとの認識を示し、ウクライナについて「我々が手を引けばウクライナはロシアの支配下に置かれ、ウクライナの隣国や欧州全体が脅威にさらされる」と指摘し、屈することなく、結束して立ち向かうよう呼びかけた。

 マクロン大統領は、ウクライナの「勇敢さ」を称え、ゼレンスキー大統領に対し、各国首脳とともにスタンディング・オベーションを送った。

 ゼレンスキー大統領は、「連合国軍は当時、欧州の自由を守った。そして今、ウクライナが欧州の自由を守っている。真に団結すれば勝利できる」と揺るぎない支援を訴えた。

 同式典は、さながら第2次世界大戦当時のナチス・ドイツを現在のロシアに置き換えた形だ。

 ロシアへの対決姿勢を明確にし、80年の節目がロシアに対する勝利と抑止に向けた自由主義陣営の結束を改めて確認する機会となり、その意味で、非常に象徴的なものとなった。

 それと軌を一にして、D-Day翌日の6月7日から20日にかけて、フィンランドとスウェーデンの新加盟国を加え、NATO(北大西洋条約機構)最大規模の「バルト海作戦演習」(BALTOPS:Baltic Operations Exercise)が始まった。