職業体験に参加した経営者が得たもの

 先代が立ち上げた事業を継承してきましたが、変化の大きなこの時代の中で、将来への不安や新規事業立ち上げへの強迫観念があったそうです。誰かに相談したくても、周りには自分と似たような悩みを抱える社長仲間と社員しかいない。一人悶々としていました。

 そこで複数の異業種の仕事を体験して、新たな気づきを得ようと考えた社長は、伝統工芸の職人や街づくり企業、町工場など、複数の職種を期間限定で体験されました。

 すると、本来のご自身のあり方が見えてきたそうです。普段とはかけ離れた環境に身を置き、複数の経営スタイルに触れることで、これからY社がどの道を進むべきかの方向性が明確になったのです。

 社外に出たことで、固定観念からも解放され、良い意味で足元を見直すことができました。日常から離れた職場は、ストレス発散の場にもなったのでしょう。

 社長は「思い込みから解放された」「想いを共にする仲間に会えた」と振り返っています。現在では社員に対して職業体験を積極的に推奨しています。まさにウェルビーイングの向上につながった事例でした。

会社の外に出たことで、固定観念からも開放され、良い意味で足元を見直すことができたという(写真:DavideAngelini/shutterstock)会社の外に出たことで、固定観念からも解放され、良い意味で足元を見直すことができたという(写真:DavideAngelini/shutterstock)