ここ最近、従業員のウェルビーイングを大切にする起業は増えている(写真:3rdtimeluckystudio/shutterstock)ここ最近、従業員のウェルビーイングを大切にする起業は増えている(写真:3rdtimeluckystudio/shutterstock)

 ここ数年、大手企業を中心に、企業がウェルビーイング(従業員の幸福状態)を大切にする傾向が強まってきました。従業員一人ひとりが活き活きと仕事に打ち込める環境を整えることが、企業の重要課題と位置づけられるようになったのです。

 なぜ企業がウェルビーイングに注目するようになったかと言えば、従業員の健康とパフォーマンスに相関関係があることが多くの調査で明らかになってきたためです。

 ストレスに圧倒されている社員はモチベーションも停滞気味。組織に対してなかなか貢献ができません。反対にウェルビーイングが高ければ、従業員のやる気を引き出せるのはもちろん、同時に離職抑止にもつながります。従業員のウェルビーイングを追求することが会社のメリットにつながると広く認識されるようになりました。

 それでは、ウェルビーイングとは何を指すのでしょうか。端的に言えば、体と心と社会生活の三方が良く、面で充足感や幸せを感じられる状態のことです。

 体の健康は分かりやすいと思います。心の健康とは、ストレスフリーで、リフレッシュできている気持ちよい状態のことです。社会的な健康は、人間関係に恵まれ、周りから承認されていると実感できるとされています。

 こうしてみると、ウェルビーイングには総合的な側面があることが分かります。

心のリフレッシュに有効な大人の職業体験

 企業がウェルビーイングを大切にする理由は明白です。ウェルビーイングの高い従業員は、モチベーションが高く前向きに業務に取り組めるからです。

 イノベーション創出力は高まり、人材の定着にもつながる。結果として、会社の業績アップにもつながるということです。

 そうした中で注目されているのが、「大人の職業体験」によるウェルビーイング向上の取り組みです。

 大人の職業体験プログラムは、身体的、心的、社会的なウェルビーイングの中でも、特にメンタルヘルスと社会的な側面のウェルビーイング向上に適していると考えられています。

 普段の職場を離れ、違う環境で新しい仕事に従事する機会を設けることが、心のリフレッシュに有効だという検証結果が揃いつつあるのです。

 それでは、大人の職業体験が心理面と社会生活面のウェルビーイングにどのように影響を与えるのか、見ていきましょう。