承認欲求や所属感を満たされる社員

 まず心理面ですが、普段の職場環境を離れることでリフレッシュできると考えられています。毎日の業務に追われる毎日から解放され、発想を切り替えたりリセットしたりする機会が生まれるからです。

 また、新しいことにチャレンジすることで、自分の新たな可能性に気づく機会があります。その発見が仕事への新たなモチベーションとなり、前向きな姿勢になれることも少なくありません。

 加えて、環境が全く異なる中で、日頃の自分を客観視できれば、現在の仕事へのスタンスを見直し、納得感を改善することができます。つまり、単なる息抜きだけでなく、モチベーション向上や仕事を俯瞰する機会をもたらすことが期待できるわけです。

 一方の社会生活面では、普段の職場とはガラリと異なる価値観や文化に触れられます。社外に出るだけで、多様性を実感でき、新しい人間関係も構築できるでしょう。

 社内で評価の振るわない社員が体験先で認められ、受け入れられれば、その社員は承認欲求や所属感で満たされ、社会的なウェルビーイングを高めることにつながります。

 つまり、大人の職業体験は、心の健康と社会生活の両面で、従業員一人ひとりのウェルビーイングを支えてくれると期待されているのです。

 具体例を挙げれば理解が深まると思います。神奈川県の老舗の道路工事会社、Y社の社長が実際に大人の職業体験を体験されました。