「高橋洋一チャンネル」は106万人の登録者がいる。驚異的な登録者数である。単純にいえば、日本人の大人の100人に1人がかれのYouTubeを見ている。だから高橋の主張は彼らの間では知られている。であるならもっとかれの考え方が広まっていいと思うのだが、しかし現実的にはなんの力にもなっていない。

 テレビは腐ったメディアだが、腐ってもテレビである。ネットで数億回再生というようなことが話題になることがあるが、そのことを知るのもテレビ、という人がまだ多いのである(わたしだ)。テレビの影響力まだまだ大きいのだ。

 日本の国や社会がよりよくなればいいと思う。しかしなにも変わらない。日本の政治はこの半年間、政治とカネの問題だけで揉めに揉め、出てきたのはネズミ1匹である。

 わたしは以前、高橋洋一氏みたいな人に一回、総理大臣をやってもらいたいと書いたことがある(「最強の官庁“財務省”、罪は多々わかっていてもだれも罰することができない」)。かれの知見をネット民だけに限定しているのはもったいないように思う。

 日本が変わるひとつの強力な手立ては、財務省から国税庁を切り離して、新たに歳入庁を新設すること、という高橋氏の提言を生かすことである。

 高橋氏は孤軍奮闘である。かれの考えるところを政策として生かす政治家や政党はないものか。このままでは日本はだめになる一方である。

日本を変えていこうとする人を

 小さいことでも日本を変えようとする力は貴重である。

 石丸伸二安芸高田市長が今夏の東京都知事選に立候補を表明した。石丸氏は41歳、安芸高田市は広島県にある人口2万6000人の小さな町である。

 しかし、早くも「東京を舐めるな」「絶対に無理」という都議が現れ、集英社オンライン編集部ニュース班が、地元の対立市議の「ロシアからプーチンがいなくなったみたい」「もし勝とうものなら、東京都民の皆さん、ご愁傷さまです」という反石丸の意見ばかりを載せた記事を書くという嫌がらせが出ている。

 ちょっとびっくりしたのは、高橋洋一氏も、この人は市政でなんの実績もない、功名心が逸っている、いささか「売名的」と、批判していることである(ただ石丸氏の立候補理由はたしかにわかりにくいが)。しかし実績のある政治家などほとんどいやしないのだ。

 石丸市長の市議会でのYouTubeをずっと見ていると、かれがほんとに町をよくしたいと考えていることは信頼できる。すくなくとも色物立候補者や、なにもしなくても毎月高給をもらうことだけが目的の政治商売人(政治ゴロ)では、まったくない。

 堀江貴文氏や西村博之(ひろゆき)氏のように、石丸氏に期待する人もいる。小さいところからでも日本を変えていこうとする、心意気のある人間は応援したい。

 結果はどうであれ、石丸伸二氏にはがんばってもらいたい。