「すぐ食いつく評論家がいつもいる」

 高橋氏の財務省に関する解説の三つ目は、1028回目の「いま話題のリパトリ減税は目くらまし円安対策」である。

 現在、円安が大変だということで、植田日銀総裁は利上げも視野に入ってくるといってるが、「これはもの凄い間違い」。そういう円安対策のなかで、リパトリ減税(repatriation)が注目を浴びている。これは企業の海外資産を本国に還流させたときに法人税などの減税することである。これは6月の骨太政策になるのではないかと、期待している人は多い。

 現在の減税の対象となるのは対外直接投資収益の20兆円である。だが、海外子会社配当益金不算入というのがあって、すでに20兆円の95%は非課税だから、実際にはたいした減税にはならない、と高橋氏は解説する。

 ところが「こういう知らない言葉を出すとすぐ食いつく評論家がいつもいる」。財務省の思うツボである。だから「無知は怖い」。

 要するにリパトリ減税というのは、財務省が「外為特会(外国為替資産特別会計)の含み益を出したくないため」の「目くらまし」にすぎない。

政治とカネの問題、出てきたのはネズミ1匹

 現在の日本で、財務省批判をテレビも指摘できなければ、新聞も書けない。NHKにも日本国というスポンサーがついてるから当然、なにもいえない。

 高橋氏はそんなNHKを「財務省のポチ」といい、そんな「サンモニ」(TBS)を「財務省・金融機関の走狗」「パシリみたいな番組」とコケにしている。他局もまったくおなじ。

 テレビ朝日は池上彰が好きで独占みたいな形で番組を作っている。芸人に台本通りの質問をさせ、それに池上が「いい質問ですねえ」と対応する、という八百長をいまだにやっているが、毒にも薬にもならない番組である。

 エリート意識だけは旺盛な新聞も、総理大臣や政治家は批判できても、これまたスポンサーには逆らえない。自社の不祥事は隠蔽し、同業者は批判できない。