「5000の定理」の証明を宿題にした(ラマヌジャン)

 苦手なことを克服するよりも、得意なことを伸ばしたい。そんなふうに思う人はたくさんいることでしょう。それだったら、ただ単に、得意なことをたくさんやるよりも、より高度なことにチャレンジすると、長所をうまく伸ばすことができそうです。

 数学者のラマヌジャンは、インドの貧しい家庭に生まれました。どうも先生と合わなくて、学校にはあまり行きたがらなかったとか。「雲はどれくらい遠くにあるの?」といった、素朴な質問をしまくっては、周囲を困らせていたそうです。ちょっとエジソンと似ていますよね。

「知りたい!」という思いを原動力にして、ラマヌジャンは一人で勝手に勉強を重ねていました。すると、もともと数学の才能に恵まれていたようで、11歳にして二次方程式の解き方をマスター。自宅に下宿していた大学生をも上回るほどの数学力を持っていたそうです。

 そして、13歳のときには、サインとコサインの無限級数展開(むずかしい!)について、自分なりに結論まで見出したといいます。

 しかし、ラマヌジャンがすごかったのは、ここから。さらに、自分の数学力をレベルアップさせようと、ジョージ・カーが書いた『純粋数学における初歩的な結論の一覧』 を図書館で借りてきたのです。

 1000ページを超えるこの本にのっている定理はなんと5000! ラマヌジャンは、この5000の定理をすべて証明することを「自分への宿題」としたのです。己に課すハードルの高さよ……。

 貧しくて紙がなかなか買えなかったラマヌジャン。石板にひたすら計算して、結果だけをノートに書き留めるようにしていました。そのノートをずーっと長く使いながら、やがてラマヌジャンは天才数学者として、注目されることになるのです。

©しまだなな 『ヤバすぎる!偉人の勉強やり方図鑑』より

【こぼれ話】
 ある日、数学者の友人が、乗車したタクシーのナンバーが「1729」だったため、「つまらない数字だった」とラマヌジャンに言いました。数字へのこだわりが数学者らしいですが、ラマヌジャンはさらにレベルの高い返答します。

「とても興味深い数字です」

 その理由について、「2通りの2つの立方数の和で表せる最小の数です」と。つまり、

1729=103+93=13+123

 と表せるため、興味深いと。さすが、5000の定理を学んだだけありますね。

『ヤバすぎる!偉人の勉強あり方図鑑』(真山知幸著/大和書房)

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『ヤバすぎる!偉人の勉強やり方図鑑』では、好奇心がちょっと旺盛すぎる偉人たちの勉強のやり方を100人分集めました。

 自分が知りたいこと、やってみたいことを身につけるため、あるいは、自分の目標を達成したり、夢を叶えたりするために、本書をぜひ役立ててもらえればと思います。