1軍への新規参入には30億円、ハードル高く

 くふうハヤテとオイシックス新潟の新加盟は、日本野球機構(Nippon Professional Baseball Organization:NPB)による野球活性化策の一環として実現しました。

 日本にプロ野球が誕生したのは1934年。今年でちょうど90年です。人気スポーツとしてすっかり定着し、昨年の1軍公式戦はセ・パ両リーグの838 試合で計約2500万人(前年比18.9%増)の観客を集めました。1試合平均にすると、2万9000人余り。これほど多くのファンを安定してスタジアムに呼べるプロスポーツは、日本では他にありません。

プロ野球 ファーム球団と本拠地(フロントラインプレス作成)

 そうした人気の一方で、NPBは少子高齢化による競技人口の減少、サッカーやバスケットボールなど他のプロスポーツとの競合、娯楽の多様化によるファンの先細りといった将来課題も抱えています。そのため、野球人口の拡大やファンの掘り起こし、地域振興などを実現させようと、NPBはさまざまな方策を模索してきました。

 ただ、NPBへの新規参入は容易ではありません。最初に保証金として25億円、野球振興協力金として4億円、加盟手数料として1億円の計30億円が求められます。一定の設備と規模を持つスタジアムも欠かせませんし、何よりも1軍のレベルを維持できる選手・スタッフも必要です。

 これらのハードルは相当に高く、1軍の公式戦を想定した球団の新規加入は相当に難しい状況でした。このためNPBは、当面は2軍だけを前提として新球団を参加させる「ファーム拡大構想」を進めていたのです。

 昨年、2度にわたって開かれた新球団向けの説明会には、静岡と新潟の2球団以外にも10チームほどの参加がありました。NPBとは別のプロ独立リーグ(地域リーグ)に加盟する熊本市の「火の国サラマンダーズ」、富山市の「富山GRNサンダーバーズ」、人材派遣大手のエイジェックが運営する「栃木ゴールデンブレーブス」などが参加しました。

 このうち、実際に加盟を申請したのは、静岡と新潟、栃木の3球団。最終的に静岡と新潟が今シーズンからの加盟を認められました。