5.国防大臣・軍参謀長が一瞬ニヤついた瞬間

 セルゲイ・ショイグ国防大臣、ワレリー・ゲラシモフ軍参謀長も暗い表情だ。

 有利に戦況が進まない責任はこの2人にある。本来であれば、責任を取らされて、とっくの昔に解任されていてもいいはずであるが、そうではないようだ(演説の時期まで)。

国防大臣と軍参謀長の表情(上)と一瞬見せた表情(下)

 この2人を辞めさせると、作戦がうまくいかず失敗しているという結果に結びついてしまうので、辞めさせられないのであろう。

 実際は、プーチン氏をはじめ、演説を聴講している人々の批判の的になっている。

 プーチン氏のゆがめられた演説内容によって、少しは救われている面もあるが、軍事作戦の戦果の真実を知っている2人は、穏やかな気持ちではないはずだ。針の筵状態のはずである。

 だから、最も暗い表情を浮かべているのは、当然のことである。

 だが、この2人も一度だけ、「ニヤッと笑う」瞬間があった。

 戦争がうまくいかない責任のある2人が一瞬でも笑うのはなぜなのか。これは、何を意味するのか。

 全体的には、作戦を計画通り進ませることができなかった責任を感じて暗い表情だった。

 だが、「ロシアの核兵器の戦力は、確実に使用できるよう準備が完了している」と核戦力を誇示し、米欧を牽制した時だった。

 この時だけ一瞬の笑いがあった。米欧を恐怖に陥れる唯一の手段であることを示せたと感じたからであろう。