ゾーンに入る香り、白いラベンダー

 ラベンダーといえば濃い青紫の花の色が特徴的ですが、秋田県美郷町のラベンダー園では白色のラベンダー「美郷雪華(みさとせっか)」が栽培されています。美郷雪華は同園で見つかって品種登録された新種のラベンダーです。

 私たちはこの美郷雪華の香り成分を調べました。

 ラベンダーと美郷雪華の成分を調べた結果を図4―2に示しています。真正ラベンダーと書いてあるのは、紫のラベンダーにもさまざまな品種があるからです。真正ラベンダーは最もよく流通しているラベンダー精油の原料です。

 ラベンダーの香り成分はここまでに何度か紹介してきましたが、リナロールと酢酸リナリルです。表を見るとそれぞれ47.1%と40.6%になっています。しかし、美郷雪華ではリナロールは16.9%しかなく、酢酸リナリルは少なすぎて検出不可という結果になりました。

 美郷雪華で最も多い成分は、テルピネン4オールという物質ですが、これはティートリーというオーストラリア産の植物の葉からとれる精油に多く含まれています。

 ラベンダーもティートリーも爽やかなすっきりとした香りですが、ラベンダーのほうは花の甘さがあるのに比べ、ティートリーは森林の中に入ったような葉の香りが強いのが特徴です。同じラベンダーなのに、美郷雪華の香りは真正ラベンダーと大きく異なることが分かります。

 真正ラベンダーとほかの紫のラベンダーを比べたときは、各成分の数値に違いはありますが、主成分がまったく異なるということはありません。