宗教的な連帯感が戦意が高揚するとも
日中に飲食ができないとなると、さぞかし苦しいだろうと思うかもしれませんが、実はイスラム教徒にとっては楽しみでもあります。「ラマダンが一年で一番好き」と言う人も少なくありません。
なぜなら、断食しなければならないのは日中だけ。日没後はイフタールと呼ばれる断食明けのごちそうを各家庭で囲むのです。ラマダンに食べる特別な料理やお菓子もあります。エジプトなどでは、夜遅くまで友人や親戚宅を訪ねたり、子どもを公園で遊ばせたりして過ごします。テレビでは特別番組が放映され、街路は色とりどりのランタンで彩られます。
また、ラマダン中には、特に貧しい人への喜捨が奨励されます。街のあちこちに、恵まれない人たちのために食事をふるまうテーブルが並べられます。ラマダンが明けると、「イード」と呼ばれるお祭りです。温かく、華やいだ雰囲気は、どこか日本の盆や正月を思わせます。
宗派や国、人によってラマダンの過ごし方に多少の違いはありますが、イスラム教徒にとって重要な義務であることに変わりはありません。ともに飲食を断ち、祈りをささげることで宗教的な連帯感が強まり、戦意が高揚するとも言われています。