気象条件としては最低気温が5℃以下で、1日の気温差が10℃以上あるようなときが要注意だ。過去10年の気象庁のデータをもとに分析すると、11月~3月の中で気温差が10℃以上ある日は年々増加傾向にある。寒くなってきたなと感じ始めたら、しもやけになりやすい時期に突入したと考えたい。気温が上がりはじめる春先も、1日の温度差が大きくなるので油断は禁物である。

気温差が10℃以上ある日の過去10年推移の図(ユースキン製薬株式会社提供)

 また、コロナ禍で定着した手洗い習慣が手を冷やす機会増加に繋がっていると野村医師は話す。手洗いによって皮膚の温度が低下し、さらに手を拭かずに濡れたままにしていると気化熱の原理でさらに皮膚温が下がるためにしもやけになりやすくなってしまうのだ。

乾燥と血行不良が大敵のかかと荒れ

 かかと荒れが起こるメカニズムには血行不良のほかに、乾燥も関わってくる。かかとには皮脂腺が少ないために特に乾燥しやすく、また体の末端で体重の約70%の圧力がかかる場所でもあるために血流が悪くなりやすいのだ。

 そこに暖かい室内から寒い屋外へ出入りを繰り返す、寒い廊下と暖房のきいた部屋との行き来を繰り返すなどすると、血管の収縮が起きて血行不良となり皮膚の新陳代謝が遅くなる。表皮細胞の入れ替わりが滞ってくると、ただでさえ皮脂腺が少なく乾燥しやすいかかとの皮膚は荒れやすい状態になり、角質も厚く硬くなってしまう。これがひどくなるとひび割れを生じるなど、痛みを伴う状態になる。

 ユースキン製薬株式会社が側面にひび割れを生じて痛みのあるかかとをMRIで撮影したところ、皮膚表面のひび割れは深さ0.7mmにも達していた。ひかり在宅クリニックの皮膚科医である今井亜希子医師は画像を見て、

「これは角質層を超えている深さです。ここまで深い傷が元に戻るには、何も処置しなければおよそ2週間かかるでしょう。しかし、かかとの皮膚に全く負荷をかけずに生活するのは難しいので、実際はそれ以上かかります」

 と解説する。

側面にひびわれがあり痛みを伴うかかとのMRI画像(ユースキン製薬株式会社提供)

「痛みを感じるほどかかと荒れが重症化すると、歩き方のバランスが崩れて歩きにくくなり、生活に支障をきたします。さらにそれが続くと膝痛や腰痛、肩こりなど全身にも影響することがあるので、早めのケアが重要です」(今井医師)