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(国際ジャーナリスト・木村正人)
英軍事史家「英国海軍は国を守ることすらできない」
[ロンドン発]ウクライナ・ロシア戦争やイスラエル・ハマス戦争で地政学的リスクが高まる中、英軍事史家でバッキンガム大学のソール・デービッド教授は英大衆紙デーリー・メール(2月6日付)への寄稿で「今日の英国海軍はフォークランド奪還どころか英国を守ることすらできない」と警鐘を鳴らしている。
「35億ポンド(約6500億円)を投じて建造された新鋭空母クイーン・エリザベスがプロペラシャフトの錆のため冷戦後最大の北大西洋条約機構(NATO)の演習に参加できなくなった。私たちにできることはロシアのウラジーミル・プーチン大統領とアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が英国に手を出さないことを祈るだけだ」とデービッド教授は嘆く。
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1897年に行われたヴィクトリア英女王のダイヤモンド・ジュビリー(即位60年を祝う式典)の海軍観閲式では21隻の戦艦と56隻の巡洋艦を含む170隻の大艦隊が英南部ソレント海峡に展開した。2列に並んでも13キロメートルの長さに及んだ。大英帝国海軍は1889年に、次に大きな2国を合わせたより大きな艦隊を持つ「2大国主義」を採用していた。
NATOの演習には通常、英国の海岸を巡回している4隻のP2000「プラスチック製哨戒艇」(乗組員5人、全長20メートル)も参加する。艦船というより民間のレジャー船に近い。艦橋は風雨にさらされ、ノルウェーや北極圏まで北上して演習に参加するのは並大抵ではない。ありとあらゆる船を動員した第二次大戦の「ダンケルクの戦い」を彷彿とさせる。