美の基準も生成AIが決める時代へ?(著者がDALL-E 3で生成)
  • 最近は人間だけでなく、CG加工などで作られたAIインフルエンサーが登場している。そんなAIインフルエンサーをやめてほしいという嘆願がTikTokに対して寄せられている。
  • その背景にあるのは、子どもたちに対する悪影響。CGで作られた再現不可能な美の基準によって、ストレスを感じたり、自分に対して自信を失ったりしているからだ。
  • フィルター機能で自分の画像を盛る人ほど美容整形手術を受けるという研究もある。バーチャルがリアルな人の精神を蝕む状況をどう考えればいいのだろうか。

(小林 啓倫:経営コンサルタント)

1万2000人の親が参加したオンライン署名

 さまざまなテーマについて何らかの意見や要望を表明したいとき、ネット上で署名を集める「オンライン署名」を活用するのは一般的だろう。その中でも、最近行われた、とあるオンライン署名には多くの注目が集まった。1万2000人以上の親たちが、「AIインフルエンサーを閉鎖してほしい」とTikTokに対して嘆願したのだ。

ParentsTogetherが行っているオンライン署名

 呼びかけを行っているのは、子どもや家族に関する問題について活動を行っている非営利団体のParentsTogether。嘆願を行う相手に指定されているのは、ショート動画投稿サービスとして若者に人気のサービス「TikTok」のCEO、周受資(Shou Zi Chew)である。

 本稿の執筆時点(2024年1月29日)で、目標としている1万2800人の署名まで、あと385人と迫っている。

 AIインフルエンサーとは何者で、なぜTikTokにその閉鎖を迫っているのか。簡単に背景を説明しておこう。

 まずAIインフルエンサーだが、これは文字通り、AIを使用して「作られた」インフルエンサーを指す。最近の生成AI技術の進化により、極めてリアルなCG画像を作成することが簡単にできるようになった。

 それを利用して、実在の人間にしか見えないグラビアアイドルを描くといった行為が流行しており、その彼ら・彼女らをインフルエンサーにしてしまえ、という発想が生まれているのである。

 たとえば、Lil Miquela(リル・ミケーラ)というアカウントは、「ロサンゼルスに住む19歳のロボット」という設定で開設されており、現時点でフォロワー数は350万人に達している。