SHIMOSE」は広島県大竹市にある。瀬戸内海に面した広大な敷地に、美術館とレストラン、多彩なヴィラが点在する。設計の坂茂氏は「建築界のノーベル賞」といわれるプリツカー賞に輝いた世界的建築家で、紙製の管を使った建築で被災地支援を続けることでも知られる。能登半島地震の避難所にも間仕切りを提供した。「SHIMOSE」では、紙管を用いたヴィラに泊まることもできる。

「SHIMOSE」広島県大竹市/設計:坂茂建築設計(写真:萩原詩子)「SHIMOSE」広島県大竹市/設計:坂茂建築設計(写真:萩原詩子)

 福岡県の太宰府天満宮では、現在、重要文化財である本殿の、124年ぶりの大改修が行われている。3年がかりの工事期間中に参拝客を迎えるのが「仮殿」だ。設計は大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーで、話題の木造リングを手掛ける藤本壮介氏。巨大リングとは対極の小さな仮殿にも、その力量を遺憾なく発揮している。

「太宰府天満宮 仮殿」福岡県太宰府市/設計:藤本壮介建築設計事務所(写真:萩原詩子)「太宰府天満宮 仮殿」福岡県太宰府市/設計:藤本壮介建築設計事務所(写真:萩原詩子)

 2016年4月、震度7を2度記録した熊本地震。県内各地に点在する震災遺構を結ぶ回廊形式のフィールドミュージアム「熊本地震 震災ミュージアム」の中核施設として新設されたのが「KIOKU」だ。いわゆる「ハコモノ」的な堅苦しさがなく、地形に寄り添うなだらかなフォルムで、屋内の展示と屋外の阿蘇の風景を結び付ける。

「熊本地震 震災ミュージアム KIOKU」熊本県南阿蘇村/設計:大西麻貴+百田有希/o+h・産紘設計(写真:宮沢洋)「熊本地震 震災ミュージアム KIOKU」熊本県南阿蘇村/設計:大西麻貴+百田有希/o+h・産紘設計(写真:宮沢洋)

 以上の10作品、あなたはどの建築に興味を持っただろうか。さらにそれぞれについて複数の写真と推薦委員のコメントは建築ネットマガジン「BUNGA NET」と空間デザインメディア「TECTURE MAG」で読むことができる。

 投票は簡単。X(旧Twitter)上の「みんなの建築大賞」アカウントが各作品の紹介記事をポストするので、気に入った作品に「いいね」(♡をタップまたはクリック)するだけだ(複数への投票も可能)。投票期間は2024年1月29日から2月11日まで。

みんなの建築大賞 @minnanokenchiku
https://twitter.com/minnanokenchiku

 期間中に最も多く「♡(いいね)」を獲得した作品が「みんなの建築大賞」に選出される。

 投票はだれでも(Xのアカウントがあれば)できる。建築家でも建築関係者でもないが、「建築にちょっと興味がある」人が最終的に決める建築アワードは、おそらくこれまでなかっただろう。あなたの1票が結果を左右するかもしれない。ぜひ参加してほしい。

 大賞は2月15日に発表される予定だ。建築家へのインタビューや詳細リポートの発表なども予定されている。後日改めて報告したい。

【2024年2月20日更新】発表された大賞はこちら。
一般の人のSNS投票で決める「みんなの建築大賞 2024」、大賞は建築系スタートアップVUILDによる「学ぶ、学び舎」

萩原 詩子
はぎわら・うたこ 編集者・ライター。リクルート『月刊ハウジング』編集部を経てフリー。現在は福岡県北九州市を拠点に、建築・まちづくりなどをテーマに取材・執筆を行う。