6作品はだれでも「会いに行ける建築」
首都圏から訪ねやすい建築としては、まず「花重(はなじゅう)リノベーション」(東京都台東区)が挙げられる。谷中霊園の前にある、創業150年の老舗花屋の改修だ。文化財でもある店舗を補修再生し、新たにカフェを設けている。江戸、明治、大正、昭和と積み重なった歳月の痕跡と、スチールやコンクリートといった現代的な要素が巧みに組み合わされている。
東京からのドライブの目的地によさそうなのが「地中図書館」(千葉県木更津市)だ。音楽プロデューサー・小林武史氏が総合プロデューサーを務める広大な農園施設「クルックフィールズ」内にあり、アートや食事も楽しめる。地中図書館はその名の通り、緑に覆われた土の下に、ひっそりと埋もれている(入館は事前予約制)。設計は「東急プラザ表参道原宿」を手掛けた中村拓志氏。
西日本の4作は、旅行の訪問先としてお薦めしたい。岡山県岡山市の雑木の自然風庭園「福武トレス」は現在公開準備中。「時の庭」と銘打たれた庭園内の施設のうち、ベスト10入りしたのが「Fギャラリー」だ。極細の358本の柱が林立する建物には壁がなく、雑木林に溶け込む。