英国バークシャー州ブラックネルにある富士通の英国本社英国バークシャー州ブラックネルにある富士通の英国本社(写真:REX/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

「富士通は最初から関与していた」

[ロンドン発]富士通が英ポストオフィスに納入した勘定系システム「ホライズン」の欠陥が原因で民間委託郵便局長(以下、局長)ら736人が冤罪に陥れられた事件で、富士通のポール・パターソン欧州最高経営責任者(CEO)が19日、真相を究明するホライズン公聴会に出席し、「富士通が社会と元局長らを地に落としたのは明らかだ」と改めて謝罪した。

英下院で証言する富士通のポール・パターソン欧州最高経営責任者(筆者がスクリーンショット)

 パターソン氏は16日の下院ビジネス・貿易委員会でも「このひどい冤罪に富士通が関与したことをお詫びしたい。富士通は最初から関与していた。システムにバグやエラーがあり、ポストオフィスによる局長らの起訴を手助けした」として被害者救済制度に資する「道義的義務」があると述べた。英国政府は8月までの賠償を目指している。

 これまで富士通はポストオフィス(郵便事業の窓口を担当する国営企業)の陰に隠れてダンマリを決め込んできた。次期総選挙を控えるリシ・スナク首相が突然、冤罪に問われた全員の有罪判決を撤回、賠償に応じると表明したため、方針転換を迫られた。賠償総額は推定10億ポンド(約1880億円)。そのうち富士通がいくら負担するかは公聴会の結論次第だ。

 富士通にとってはIT(情報技術)システムの公共調達に食い込むため1998年、ホライズンを開発した英国策企業ICLを買収したことが結果的に裏目に出た。国際競争力を失ったICLのホライズンはバグだらけの「クソ袋」(富士通元エンジニアの証言)だった。東芝を地獄に叩き落した米原子力関連企業ウェスティングハウス買収と同じ轍を踏まないか心配だ。