アイロボットのコリン・アングルCEO(写真:AP/アフロ)

 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が、米アマゾン・ドット・コムによる家庭用ロボット掃除機メーカー、米アイロボット(iRobot)の買収を阻止する方針を固めた。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)英ロイター通信が1月19日までに報じた。

欧州委、EC利用の競争阻害を懸念

 関係者によると、欧州委の競争法当局者らは2024年1月19日にアマゾン側と会談し、買収は阻止される可能性が高いと伝えた。

 この買収阻止案が最終決定されるためには、欧州委員27人による正式承認が必要となる。だが過去の事例から、この過程でマルグレーテ・ベステアー上級副委員長(競争政策担当)の勧告が覆る可能性は低い。欧州委は最終決定期限を24年2月14日としている。

 欧州委は23年11月にこの取引に関する懸念を正式表明し、ロボット掃除機市場における競争を阻害する恐れがあると指摘した。欧州委は、アマゾンにはアイロボットの競合企業を締め出す動機と能力があり、自社のEC(電子商取引)マーケットプレースにおいて、競合製品の販売を妨害したり、競合企業によるアクセスを制限したりする可能性があると述べている。

 例えば、競合製品を検索結果や、目立つ場所から削除したり、表示順位を下げたりする可能性があり、特にフランス、ドイツ、イタリア、スペインの市場において懸念があるとしている。

 これらの懸念は、24年春からEU域内で全面適用されるデジタル市場法(DMA)によって対処できる可能性がある。だが、欧州委はそれらの手続きが長引くことなどを考慮し、現時点で買収を阻止するほうが望ましいと判断している。