米連邦取引委員会(FTC)(写真:AP/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムによる、家庭用ロボット掃除機「ルンバ(Roomba)」を手がける米アイロボット(iRobot)の買収計画について、米国で反トラスト法(独占禁止法)を所管する米連邦取引委員会(FTC)が調査している。米ウォール・ストリート・ジャーナルロイター通信が9月20日に報じた。

「買収の目的と根拠」を求める

 FTCは、この17億ドル(約2400億円)の買収取引について、その目的と根拠を説明する文書を提出するようアマゾンとアイロボットに正式に要求した。アイロボットが9月20日に米証券取引委員会(SEC)に提出した臨時報告書(FORM8-K)で明らかにした。

 この中でアイロボットは「アマゾンとアイロボットは速やかに対応し、合併審査において引き続きFTCと協力していく」と述べている。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、FTCの企業合併審査は最長1年かかる。その後、訴訟を提起して合併阻止を狙うか、事業売却などの譲歩を求めるか、合併を承認するか、のいずれかを決めるという。

アマゾン批判の急先鋒率いるFTC

 リナ・カーン氏が委員長を務めるFTCは、米テクノロジー大手による企業買収に懐疑的な見方をしているとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。巨大IT(情報技術)企業による買収取引はしばしば競争を阻害し、金銭的価値のある消費者データがコントロール下に置かれると懸念しているという。

 カーン氏は反トラスト法・競争法を専門とする法学者。米エール大法科大学院の学生だった2017年に、アマゾンによる競争阻害を新たな枠組みで判断すべきと提言する論文「アマゾンの反トラスト・パラドックス(Amazon’s Antitrust Paradox)」を発表。独占状態を抑制できない現行法の問題点を指摘して注目を浴びた。カーン氏は21年6月にバイデン米大統領の指名を受け、FTCの委員長に史上最年少の32歳で就任した。

 一方で、アマゾンは、同社を批判してきたカーン氏は先入観を持っており、公平な調査が行われないとし、アマゾンに関連する反トラスト法調査などから同氏を外すよう求める嘆願書を出したという経緯がある。

ルンバによる情報収集、Primeの入退会手続き

 米政治専門サイトのポリティコによると、FTCは、カメラやセンサー、人工知能(AI)を搭載するルンバによって収集される顧客宅の情報にも懸念を示している。情報をアマゾンが利用し、競合小売業者に対する優位性を不当に得るのではないかとみているという。

 これに対し、アマゾンは「当社はすべての事業において、人々のデータを非常によく管理してきた。アイロボット買収の目的は、顧客宅情報の収集ではない」と反論している。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、FTCは、アマゾンの会員制サービス「Prime(プライム)」の入退会手続きについても調査している。だが、アマゾンはFTCの調査手法がジェフ・ベゾス会長などのアマゾンの幹部らに対し過大な負担を強いるものだと批判。22年8月、FTCに異議を申し立て、資料の提出や証言などの請求を取り下げるよう求めた。

 (参考・関連記事)「アマゾンが米政府に反撃、反対派の急先鋒除外を要求 | JDIR