1月19日にカタールのドーハで開催されたAFCアジアカップの対イラク戦前の日本代表選手たち(写真:新華社/共同通信イメージズ)

「試合の前なのに選手たちの覇気が感じられない。『よしやってやるぞ』という気概も伝わって来ない。先発も『この選手を選ぶの?』と疑問を感じる起用で、ハッキリ言ってアジアカップをなめてかかっているんじゃないかと思っています。このままだと優勝なんて夢の夢ですよ」

 対戦直前にサッカー雑誌のデスクが危惧していたことが的中した。1月19日に行われたアジアカップのグループリーグ第二戦のイラク戦のことで、この試合、日本代表は1-2と無残に敗れた。

 国際試合で10連勝し、昨年9月にはドイツ代表を敵地で破った偉業も成し遂げた日本代表だったが、このイラク戦ではその片鱗も見せることがないまま完敗した。

勝ったベトナム戦でも露呈していた不安定さ

 そもそも第一戦のベトナム戦から不安定さが目についた。先制点を簡単に取りながら相手のセットプレーで2点を献上してしまう。前半終了間際になんとか同点、さらにアディショナルタイムで3-2と逆転し、後半にも1点追加して4-2と勝利を手にしたのだが、従来の好調時の日本代表とは動きが違っていた。

 日本代表の攻撃力よりも目をみはったのはベトナム選手たちのテクニックであり、俊敏さであった。日本相手に引くのではなく、堂々としたプレーは将来サッカーの上位国になるだろうという予感を持たせるには十分であった。

 イラク戦で日本代表が苦戦したのは「俺たちは強いのだ」という自信が「驕り」へと変質してしまっていたからかもしれないし、試合に入る際にも自分たちから仕掛けるのではなく、「受け」から始まるように見えるのは、それが影響しているのだろう。

 ベトナム戦で得点に守備にと大活躍した南野拓実は、この日はまるで別人のようだった。日本のエースとしてチームを引っ張っていく役割の久保建英も、せっかく先発起用されたのに存在感を消してしまった。