おじさん理想のセカンドステージ

「小学生の通学路で、交通整理をしている高齢者のボランティアがいますよね。あんな老後だったらいいなと。組織で上手に立ち回る人間関係はもう疲れた。でも、まったく人と触れ合わないのも寂しい。交通整理のように、広く浅く『おはよう』『ありがとう』と言われる世界を持てるのが幸せだと思う」

 Zさんは、コンビニの仕事で「広くて浅い、ありがとう」を手に入れたのだろうか。

 私たちは生活の基盤を失うことを恐れ、時間を切り売りしてお金のために働いている。しかし、仕事がもたらすのはお金だけではない。やりがいや生きがい、社会に貢献できる喜びも仕事がくれるご褒美だ。

 小さな「ありがとう」をたくさん集められる環境を作ることが、幸せなセカンドステージのヒントなのかもしれない。

 ただ、おじさんってのは懲りないものだ。Zさんには夢がある。

「今、コンビニの仕事をやりながら、フィギュアを作成して、それをネット販売しています。まったくの赤字ですが、いずれはこの仕事で独立したいと思っています」

 出ました。おじさんのアコガレ「起業・独立」。これも9割方のおじさんが語る、セカンドステージの理想だ。これについては「退職金を食いつぶさない程度に、頑張ってください」としか言いようがない。

 とりあえず、私たちは一つでも多くの「ありがとう」を、いろんな場面で言った方がよさそうだ。