元自衛官「コンビニ人間」になる
Zさんは今、セブンイレブンの店員として週6日働いている。勤務時間は夕方の17~22時、深夜2時まで担当する日もある。
「お客だった頃は楽そうな仕事だなと思っていましたが、想像以上に大変です。お客さんの列が途切れることはなく、出勤してからボーっとしている暇はほとんどありません」
レジに入った途端、タバコ、栄養ドリンク、ジュース、スイーツ、お弁当などを購入する人を次々とさばかなければいけない。
商品の会計だけでなく、宅配便やメルカリの受付、公共料金の支払い、収入印紙・切手の販売、コーヒーメーカーの豆の補充など、仕事は多岐にわたる。レジが空いたら、商品の整理や搬入、そしてお客さんが来るとまたレジ。おでん・揚げ物・肉まんの対応……。
「19~21時くらいは、酒類やつまみ類を購入するお客さんが多いですね。コロナの影響で家飲みする人が多いのか、カゴいっぱいに購入していく方もいます」
時給は1200円(深夜帯は1500円)。Zさんがこれまで経験した仕事の中で、報酬は一番低い。それでも、長く続けられそうな仕事だという。
「お客さんから『ありがとう』って言ってもらえるんです。ほとんどが、もう二度と会わない人ばかりですよ。でも、『ありがとう』って言われると、こんなに幸せになれるものなんだって」
Zさんはしみじみと語る。
実は、中高年男性にセカンドステージの理想を聞くと、多くの人が二つの欲求を目指していることに気が付く。
「わずらわしい人間関係を避けたい」
「ありがとうと言われたい」
この矛盾した二つの願望をどうにか両立させようと、おじさんたちはもがいている。たとえばある50代男性は、退職後の理想をこんなふうに話していた。