米アップルがゴーグル型端末「Vision Pro(ビジョンプロ)」の生産を加速しており、2024年2月までに発売する準備を進めている。米ブルームバーグや英ロイター通信が12月20日に報じた。
中国にある複数の工場では数週間前からフル稼働で生産が行われている。アップルは24年1月末までに一定数の生産を完了し、同年2月に店頭に並べたいと考えている。
アップルは23年12月20日、ソフトウエア開発者に対し、最新ツールでアプリをテストするとともに、フィードバックのためにアプリを同社に送るよう促した。このことも発売が近づいていることを示している。
9年ぶりの新カテゴリー製品
Vision Proはアップルが23年6月に発表したゴーグル型ヘッドマウントディスプレー(HMD)。同社が「空間コンピューター」と呼ぶこの製品は、(1)完全にデジタルの映像世界に没入させる仮想現実(VR)と、(2)目の前の現実風景にデジタル情報を重ね合わせて表示する拡張現実(AR)、を融合させた複合現実(MR)のヘッドマウント端末だ。ゲームやエンターテインメント、ビジネス、教育現場など様々な用途で利用できる。
アップルはこれを24年初めに米国で、24年末までにその他の国・地域で発売する予定だ。同社が、15年4月に腕時計型端末「Apple Watch(アップルウオッチ)」を発売して以来、9年ぶりの新カテゴリー製品になる。アップルにとっては、複合現実という新たな領域で市場を開拓できる可能性もあるが、なじみの薄い概念を一般消費者に受け入れてもらうという課題も残る。
アップル、生産を大幅引き下げ
これに先立つ23年7月、英フィナンシャル・タイムズは、アップルがVision Proの生産見通しを大幅に引き下げたと報じた。デザインの複雑さなどがその理由だという。これにより同社が生産委託する中国・立訊精密工業(ラックスシェア)は、24年の生産台数を40万台以下に減らす計画だ。