メタ、フェイスブック ロゴイメージ(写真:ロイター/アフロ)

 米アップルが2021年に導入したアプリの端末情報追跡制限によって、広告を主力事業とするインターネット企業の業績に明暗が分かれている。

 米グーグルの持ち株会社、米アルファベットが2月1日に発表した21年10~12月期決算は、売上高が前年同期比32%増の753億2500万ドル(約8兆6300億円)、純利益が同36%増の206億4200万ドル(約2兆3600億円)で、いずれも四半期として過去最高を更新した。

メタ、10四半期ぶり減益、逸失広告収入100億ドル

 一方、米メタ(旧フェイスブック)が2月2日に発表した21年10~12月期決算は売上高が前年同期比20%増の336億7100万ドル(約3兆8600億円)、純利益が同8%減の102億8500万ドル(約1兆1800億円)で、10四半期ぶりに減益となった。

 メタは、アップルがスマートフォンでプライバシー保護を強化した影響で成長が鈍化している。この決算発表を受け、同日の米株式市場の時間外取引でメタ株価は一時、同日終値より20%以上下落した。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、メタはアップルの方針転換による逸失広告収入が22年通期で100億ドル(約1兆1500億円)に上ると予想している。

フェイスブックの利用者数、初めて減少

 アップルは21年4月、利用者のプライバシー保護を目的とした新ルール「アプリのトラッキング透明性(ATT)」を導入した。アプリ運営会社に対し、行動データの計測と追跡に利用者の同意を求めるよう義務付けている。具体的にはターゲティング広告配信に必要となる端末固有の広告用識別子「IDFA(Identifier for Advertisers)」をアプリが取得する際、ポップアップ画面を出して利用者から許諾をとる(オプトイン)ようにした。

 しかし多くの利用者は拒否しているとみられる。これにより、各SNS上の広告は利用者の絞り込み精度が低下。広告主は、これまでと同じ広告効果を得るためにより多くの費用を投じなければならなくなった。アップルのルール変更によって、広告収入が大きく減少したのは写真共有アプリ「スナップチャット」を運営するスナップと、フェイスブックなどのSNSを運営するメタだと指摘されている。広告コストの上昇で採算が取れなくなった広告主は、より安価に出稿できる中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」に流れている。