「脅されて仕方なく」を主張するも

 公判で労栄枝は、一貫して「自分もまた法子英の被害者である」と主張し続けた。つまり、法子英に「加担しないと殺すぞ」と脅されて、やむなく共犯者になったというのだ。

 おまけに毎日、法子英に身体を求められ、2度堕胎させられた。堕胎手術をした日にもセックスを強要された。法が処刑されたことは、アモイに潜伏していた時、新聞記事で知ったが、せいせいした気分がした……。

 一方、検察は、二人はあくまでも夫婦のように一体で、常に共謀していたと主張。労栄枝はカラオケ店に勤めており、完全に自由の身だった。また、労栄枝も殺人鬼であったことは、最後に単独で、檻の中の殷を殺したことからも明らかだ……。

 検察は、殷に書かせた身代金を求める手紙の一部を、労栄枝が書き足していたことなども、彼女の筆跡鑑定書類とともに提出した。また、一連の誘拐殺人事件で、唯一生き延びた被害者男性の劉氏も、二人は一心同体だったと証言した。

 公判でこうした激しいやりとりが行われた後、2021年9月9日、南昌市の中級法院は、一審判決を下した。判決は、検察の求刑通り「死刑」だった。裁判長は、判決文を読み上げた。