地方議会でも、法案作成などでChatGPTの活用が進みつつある(写真:AP/アフロ) ※写真はイメージです
  • ブラジルのポルト・アレグレで、ChatGPTが生成した条例案が市議会を通過するという出来事があった。
  • 地方議会の議員や行政職員の人手不足が叫ばれる今、早晩、日本でも生成AIを立法に活用する動きが始まるはずだ。
  • その時に、AIが生み出すコンテンツをチェックできるのか。我々は新しい課題を抱えつつある。

(小林 啓倫:経営コンサルタント)

武蔵野市にAI研究センターを

 AI(人工知能)の進化はめざましい。まさに「AIを制する者が世界を制する」という状態であり、これからの時代で生き残るためには、地方自治体といえどもうかうかしていられない。

 そこで筆者が住む東京都武蔵野市はAI研究センターの設立を決め、最近、その設置条例案が市議会を通過した。以下はその内容だ。


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 誤解を招かないよう早めにネタバレしておくが、実際にこのような条例が武蔵野市議会で可決したという話はない。筆者のでっち上げで、まったくのデタラメだ。だが、それを知らずにこの文面を読んだら、それらしく感じるのではないだろうか。

 実は、この文面は生成AIのChatGPTに「武蔵野市市政センター設置条例」(こちらは実在する)という条例の文面を読ませた上で、「AI研究センターを設置する条例があったらどのような文面になるか考えて」と指示して生成させたものだ。

 いわば元ネタがある状態とはいえ、第3条(目的と機能)に「地域産業との連携強化」を掲げるあたり、なかなかよくできた条例案だろう。

【参考情報】
武蔵野市市政センター設置条例

 なぜこのような条例を書かせてみたのか。最近、この実験が現実の自治体で行われるという一件があったからだ。

 ブラジル南部リオグランデ・ド・スル州の州都ポルト・アレグレにおいて、ChatGPTが生成した条例案が市議会を通過するという出来事が起きたのである。しかも、ChatGPTの作文だということは、実際にこの条例が施行されるまで明らかにされなかった。

ChatGPTを使って条例を作成したラミオ・ロサリオ議員(ブラジル地元メディアGloboの報道より)