鉄道や船舶への「モーダルシフト」を推進

 物流の「2024年問題」による大きな影響が想定されるなか、社会全体での対策が不可欠です。

 物流業界では各社の経営資源を有効活用する取り組みを始めています。ヤマト運輸は2023年10月から、ヤマト運輸が顧客から預かった荷物を、日本郵便の配送網を活用して届けるサービスを始めました*5。物流業界では、ヤマト運輸と日本郵便のように他社と連携した取り組みのほか、トラックの待機時間の削減など輸送の効率化が求められています。

*5日本郵便とヤマト運輸によるクロネコゆうパケットの取扱開始(日本郵便、ヤマト運輸)

 産業界全体では、トラックの代わりに鉄道や船舶、航空を使って荷物を輸送する検討も広がっています。輸送手段をトラックから環境負荷の小さい鉄道や船舶に転換する動きは「モーダルシフト」と呼ばれ、政府も推進しています*6。全日本空輸は2023年11月から冷凍食品の新たな輸送を始めるなど、「2024年問題」に向けた取り組みを加速しています。

*6モーダルシフトとは(国土交通省)

 自宅に商品を配達してくれるネットショッピングは便利ですが、留守にしていると再配達が必要となり、宅配事業者にとって大きな負荷になっています。再配達率は十数%にも上ります。消費者庁は配達日時の不在を避けるほか、置き配やコンビニエンスストア、宅配ロッカーでの受け取りの活用を促しています。物流にかかる負荷の軽減には、急いで受け取る必要のない荷物はゆとりを持った配送日時にするなど、消費者側の協力も必要になりそうです。

【主な参考資料】
物流の2024年問題を知っていますか?(全日本トラック協会)
自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)(厚生労働省)
トラック運送業界の働き方改革実現に向けた アクションプラン(解説書)(全日本トラック協会)
参考資料3 自動車運転者の労働時間等に係る実態調査結果(概要)(厚生労働省)