(勢古 浩爾:評論家、エッセイスト)
11月8日、特殊詐欺容疑でカンボジアで逮捕された「かけ子」25人が、羽田空港に到着した。被害総額2億4000万円以上。
逮捕された男たちは、40代もいたがほとんどが20代だという。
かれらはわけもわからずカンボジアまで送り込まれ、不自由な生活を強いられ、いいように使い捨てられ、あげくの果てにとっ捕まって、いったいなにやってるんだと思う。かれらも数年前には、まさかそんなところで捕まるようになろうとは、夢にも思わなかったことだろう。
25人のなかには、一回はまともに生きようとした青年がいたのではないか。なにが悪かったのか。どうすればよかったのか、と後悔しているものがいるかもしれない。幹部連中はいまごろ左うちわでのほほんとしているのに。
その3日前の5日の深夜、新宿歌舞伎町で、20代の女が、23歳の“ホスト”をカッターナイフで刺す事件が発生した。
警察に取り囲まれた女は、「半年で1800万円使った」「私の人生をぶち壊したのに、またぶち壊そうとしている。刺しますよそりゃ。くそガキが!」とわめきちらし、地べたに座り込むと嗚咽したという。
男の命に別状はなく、女は殺人未遂の疑いで現行犯逮捕された。
わたしは、この事件を撮ったという映像を見ていないし、見る気もしないが、このような顛末のあらましを聞いただけで(聞かなくても)、わたしは女の味方である。男女のもめ事による事件では、9割、男が悪いと決まっているからだ。
わたしは無条件に被害者に味方する
いじめ事件などで時々、被害者が逆に加害者に反撃する事件が起こる。そんな場合も、わたしは無条件に被害者の味方である。