1.過去の北朝鮮のちょっと笑える写真
まず、北朝鮮が最近公開している写真説明の前に、過去にあった笑える事例について紹介する。
私が防衛省・自衛隊で情報分析部署に配置になった1990年頃、朝鮮画報(1962~1996年秋)が機関内に回覧されていた。
私は親北朝鮮派ではないが、この写真集が回覧されるのを楽しみにしていた。
その理由は、この写真集にあえて笑いを取ろうとしているようにしか見えないものが多く含まれていたからだ。
大真面目に撮影しているのが分かって、さらに笑いを誘うのだ。
あまりにも笑える一枚があったので、今でも記憶している。それは、田植え機を操作して田植え作業をする写真だった。
田植え作業というと、真っ黒に日焼けした人々の顔、泥で汚れている作業着、それに女性であれば日焼け除けの麦藁帽か日除けのタオルを頭から被るイメージを思い浮かべる。
そのイメージを180度覆したのが、朝鮮画報の田植え写真だった。
北朝鮮の美女2人が白色か薄いピンク色のおしゃれ着(白系のスーツ)を着て、田植え機の上に乗って田植え作業をしている。
泥で汚れるのは間違いないのに、白色系のおしゃれ着姿なのだ。
どの国も絶対にやらない格好で農作業をする写真を撮って、掲載するのが意味不明であった。
恐らく、「北朝鮮は楽園の国であり、美しい女性が綺麗な服を着て農作業できるほど素晴らしい国である、あるいは西側と同じように北朝鮮も農機を駆使している」というイメージ作りをしたかったのだろう。
ところが、現実は真逆で、真っ黒く日焼けした男女、ほとんどが痩せ細った人々で、機械ではなく人海戦術で農作業をしている。
写真と現実の大きすぎるギャップがおかしくてたまらなかった。