韓国内でも献金の締め付け強化
結局、教団運営のためには、韓国内で信徒の献金を絞り出さなければならないという結論となる。統一教会の過度な献金強要は、韓国でも例外ではない。
例えば、代表的な献金として先祖が犯した罪を子孫が報いる「先祖解怨式」がある。これをせずに霊界に行くと、先祖の妨害で天国に行けないと信徒たちに説く。献金は1~7代の先祖までは直系・母系各70万ウォンずつ、8代以後は7代ごとに3万ウォン以上と定められている。先祖解怨式は1999年になって文鮮明と韓鶴子が提唱して始まったが、当時は先祖解怨の対象は120代前の先祖までとされていたが、新型コロナで献金が減ると210代まで遡ることとされ、さらに現在は420代前まで拡大したという。
解怨式に必要とされる献金が完納されると、100日後に先祖の祝福式を行わなければならない。ここでも様々な理由をつけて先祖の罪を贖う特別献金を強いられる。終わりのない献金地獄にはまってしまうのだ。
山上被告が犯行を犯した当時、韓国のネット上にも「同じ経験をした」という統一教会の信徒たちの書き込みが多くあった。両親の過度な献金で生活苦に陥った2世信徒や日本人妻の献金で家庭が破綻になった韓国人夫などが、自分の経験と鬱憤をネットに吐き出したのだ。
ただ、残念ながらこれらは韓国メディアで報道されることはなかった。
200個以上のカルト宗教が乱立している韓国の人々は、実は日本ほど統一教会に対してネガティブなイメージを持っていない。統一教会の亜流であるJMSや新天地が韓国メディアの攻撃を受けているのに比べ、統一教会に対する非難はほとんど聞こえない。
ここには、統一教会が韓国で最も裕福な宗教団体であり、数多くの企業を保有しているため、スポンサーに対する韓国メディアの「忖度」が働いている側面もある。加えて「世界日報」や「UPI通信」などのメディアをもっている統一教会に対し、「同業者を刺激しない」という韓国メディアの暗黙のルールも作用していると見ていいだろう。
ただ、日本政府が請求した解散命令を裁判所が認め、日本からの献金が韓国へ流入しなくなれば、統一教会は今度は韓国内で悪徳な“献金奨励”を開始する可能性がある。そうなれば、韓国メディアも統一教会に対し、いつまでも沈黙を保つわけにはいかなくなるだろう。