旧統一教会の創設者である文鮮明氏(左・故人)と妻で現在の教団総裁の韓鶴子氏(写真:ロイター/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

仮に解散命令が出ても教団自体はなくならない

 統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の宗教法人としての解散命令を、政府が13日の金曜日に東京地方裁判所に請求した。今後は裁判所が命令を出すか判断する。

 宗教法人の解散命令は、宗教法人法の第81条で次のように規定されている。

「裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる」

 その第1号には、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」とあり、さらに第2号には「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」とある。

 所轄庁に当たる文部科学省は昨年の11月から、やはり宗教法人法に基づく質問権を7回にわたり行使して教団から回答を得る一方で、170人を超す被害者などから聞き取りを行うなど、調査を続けてきた。

 その結果、高額献金や霊感商法などの金銭トラブルで教団の損害賠償責任を認めた民事訴訟の判決が、1980年から2021年までに32件。被害者169人の損害賠償額が約22億円に及んでいた。

 また訴訟外の和解や示談を含めると、被害者は約1550人、総額で約204億円の損害を与えたとされる。