2022年11月にオープンしたジブリパーク。愛知県の魅力を高める存在として期待されている(写真:共同通信社)

 長らく東京と大阪にはさまれた「第3の都市」の座に甘んじてきた愛知県。自動車産業や航空宇宙産業が集まる世界有数の産業クラスターだが、「名古屋飛ばし」という言葉も生まれたように、東京や大阪で開催されるイベントが名古屋で開催されないということも過去にはあった。

 もっとも、この十数年で都道府県GDP(国内総生産)は大阪に比肩するまでに拡大した。2024年10月に名古屋にオープンする国内最大のスタートアップ拠点「STATION Ai」や2025年夏の開業に向けて建設が進む「愛知国際アリーナ」、ジブリの世界観を凝縮した「ジブリパーク」など、イノベーションや文化・芸術面での愛知の魅力向上に向けた取り組みも進んでいる。

 最近では、イスラエルや米テキサス州、ドイツ最大の州NWR州、フランス・パリ市やオーベルニュ・ローヌ・アルプ(AuRA)地域圏など、海外の国や自治体との連携も強化。知事自らが海外を回っている。愛知県が進めている戦略について、大村秀章知事に聞いた。(聞き手:細田孝宏、JBpress編集長)

──知事自ら海外に出向き、現地の国・自治体と交渉する「トップ外交」に積極的に取り組んでいます。なぜでしょうか。

大村秀章知事(以下、大村氏):いまの時代、この知事室でじっとしていても仕方がないのでね。じっと待っていて、海外から「日本はすごいね」なんて来てくれる時代はとうの昔に過ぎました。もう30年も前の話です。バブルの時代、もしくはその残り香があった時代ですね。

 足元の国際情勢を見ると、ロシアのウクライナ侵攻があり、世界的な物価高があり、中国の経済状況も変調の兆しがあります。そうしたいろんな変化はあったとしても、「グローバル化」「デジタル化」「SDGs」という、この三つのトレンドは変わらないと思います。いずれも、一国の内政だけで済む話ではありません。

 我々から出かけて行って、いろんなネットワークを作っていく。すると向こうも、日本はまだ捨てたもんじゃないねって理解してくれる。世界各地域と信頼関係を醸成することによって、ヒト・モノ・カネ・情報の交流がさらに活性化していくものと考えています。

愛知県知事としてトップ外交を繰り広げている大村知事

──自治体ベースでの外交にここまで積極的な都道府県はあまり聞きません。独自外交の意義をどう感じますか。

大村氏:地方政府間の交流で信頼が生まれることによって、民間レベルの交流促進も期待できるのではないでしょうか。

 愛知県は何といってもトヨタ自動車があります。日本でもアジアでもない、世界一のマニュファクチュアリングの拠点です。そうした強みを生かし、結果を出す外交にしなければならないと考えています。単なる交流だとか、友好だとか、姉妹都市だとか、そういう時代は終わりました。

──自動車を中心とした工業以外にも、スタートアップや医療、文化・芸術といった分野での連携にも積極的な印象です。