日本警察も取り締まり強化の方針
発展途上にあるカンボジアでは法整備が脆弱であるほか、警察の間で汚職が蔓延しており、犯罪組織との癒着が懸念されている。
SNSでは、日本の暴力団と結びつきがあるとされる人間が、カンボジアの政府関係者と写真撮影をした様子が投稿されているケースも見られ、「反社がカンボジアの権力者に取り入って人脈を形成し、犯罪しやすい環境を整備しているのではないか」(現地住民)との不安が広がっている。
別の在留邦人からは、「日本の印象を悪化させないためにも、国をあげて犯罪組織の壊滅に向けた取り締まりを強化してほしい」との声も聞こえる。
日本側はこうした事態を受け、海外での犯罪組織の摘発に向けて、関係各局との連携を強化していく考えだ。
谷公一・国家公安委員長(当時)は4月の参議院決算委員会で、オレオレ詐欺などの特殊詐欺について今後の対応に言及。
「警察としても、関係省庁、関係団体等と連携し、外国当局、つい先日もカンボジアで事件が発覚したが、更なる連携強化を図りつつ、緊急対策プランを踏まえた各種対策をしっかりと推進してまいりたい」と述べた。
さらに具体的な対策として、「犯罪の首謀者や指示役も含めた犯罪者グループの実態の解明、そして検挙、また犯行利用電話の利用制限等の犯行ツール対策、さらには特殊詐欺事件の背後にいると見られる暴力団等に対する多角的な取り締まりなどを更に推進していくよう指導してまいりたい」と決意表明している。
SNSを通じて犯罪が身近になる一方で、国を超えた組織犯罪への取り締まりも厳しさを増していきそうだ。
◎新潮社フォーサイトの関連記事
・邦人も被害に遭ったカンボジア「未経験・高収入」求人のワナ
・イスタンブールからイスラエル・ガザの「戦争」を見る
・川口・蕨の「クルド人」コミュニティで何が起きているのか