(文:泰梨沙子)
今年に入り、カンボジアで日本人の特殊詐欺グループが相次いで摘発されている。日本の犯罪組織が東南アジアに拠点を移しており、現地警察との癒着の噂も絶えない。ここ数年は、現地に住む一般邦人への脅迫や暴行もたびたび発生し、日本大使館は注意を呼びかけている。
カンボジアで日本人の特殊詐欺グループの摘発が相次いでいる。背景には日本での厳しい取り締まりから逃れるため、犯罪組織が法整備の脆弱な東南アジアに拠点を移していることがある。まだ摘発されていない拠点が複数ある可能性も浮上している。
カンボジアでは、今年4月に南部のリゾート地を拠点とした特殊詐欺グループとみられる日本人19人が日本に移送されたほか、5月には北部のタイとの国境の町で7人が、9月には首都プノンペンで20人以上が現地当局に拘束された。
摘発された拠点からは、携帯電話やパソコン、詐欺の手口が記載されたマニュアルなどが押収されている。在カンボジア日本大使館が出している注意喚起によると、こうした詐欺の要員はSNSを通じ、「短期間で高収入」をうたい文句に集められる。空港に到着後にパスポートを没収、監禁され、強制的に詐欺行為に加担させられるという。
さらに現地を取材すると、これまで当局に摘発された特殊詐欺グループの拠点のほかにも、複数の拠点がある疑いが出てきた。
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