(舛添 要一:国際政治学者)
ウクライナ戦争は、ウクライナがクリミアへの攻撃を強化し、新たな局面に入りつつある。ウクライナとロシアの情報戦も激しくなっており、戦闘の状況を見極めるのが難しくなっている。また、西側諸国では、「ウクライナ疲れ」が進んでいる。
クリミアへの攻撃
ウクライナは、このところクリミアへの攻撃を集中させている。クリミアは、2014年にロシアがウクライナから奪って併合した地である。
9月13日には、セバストポリの造船所をミサイルで攻撃し、大型揚陸艦や潜水艦を損傷させ、14日には、エフパトリア近郊の防空システムを破壊している。
9月22日には、セバストポリにあるロシア黒海艦隊司令部を、イギリスから供与された長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」で攻撃した。ウクライナ側の発表によると、司令部では幹部会議中で、死者34人、負傷者105人にのぼり、その中にはビクトル・ソコロフ司令官も含まれているという。
ところが、ロシアは、死んだはずの司令官が会議に出たり、インタビューに応じたりしている動画を公表し、生存していると強調している。しかし、これがいつ、どこで撮影されたものか不明であり、ウクライナとロシアの主張のどちらが正しいかは不明である。まさに情報戦争である。