台湾有事になれば中露朝は日本海で「陽動作戦」も

 ウクライナ戦争を契機に中露朝の軍事面での協力関係が強化される可能性が高くなったわけだが、すでに中露の合同演習と共同飛行、艦艇の活動により、日本は中露に包囲された形になっている。

 ロシア軍の爆撃機が日本列島を一周する形で飛行しているうえ、今年7月には中露の艦艇計11隻が「合同パトロール」と称して日本列島を一周している。北朝鮮軍が中露のように日本周辺で活動することは考えられないが、中露と連携することになれば、日米韓の連携は一層重要になるだろう。

 筆者は、中国軍が台湾へ侵攻する可能性は極めて低いと考えているが、仮に台湾有事が起きた場合、米軍や自衛隊の戦力が台湾周辺に集中することを防ぐため、中露朝が日本海などで陽動作戦を行うことも考えられる。

 つまり、南西諸島だけでなく、日本海でも日本は台湾有事に巻き込まれることになるのだ。

 台湾有事でなくとも、中露朝は弾道ミサイルと核兵器により日本と在日米軍を恫喝することが出来るようになる。つまり、中露朝にとって共通の敵である米国の脅威に3カ国が連携して対応することが出来るようになるのだ。

 今後の中露朝の軍事協力関係の強化には注意を払う必要がある。日本の安全保障にとって金正恩総書記のロシア訪問は決して他人事ではないのだ。